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本ページは、がん免疫製剤を処方されている方を対象に、適切な治療を受けていただくことを目的としています。

尿路上皮がん

Chapter 2

膀胱がんの検査と診断、治療法

膀胱がんの検査と診断

膀胱がんの診断には、どんな検査が必要ですか?

内視鏡を使って組織を採取し、がん細胞の有無や深さなどを確認します。画像検査では、がんの広がりや転移の有無を調べます。

尿検査、尿細胞診、超音波検査、膀胱鏡検査で膀胱がんが疑われる、あるいは診断される場合は、経けいにょうどうてきぼうこうしゅようせつじょじゅつ尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)と呼ばれる内視鏡手術が行われます。TURBTは、内視鏡で組織を採取し、採取した組織を顕微鏡で詳しく調べ(病理検査)、がんかどうか、がんであればがんの深さ、広がり、悪性度(図「治療の戦略(膀胱がん)」参照)などを確認するもので、がん切除のための内視鏡「検査」と「治療」を兼ねた必須の手術として行われます。
CT検査やMRI検査では、がんの広がりや転移の有無を確認します。これらの結果を総合的に判定したうえで病期が判定されます。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
病気がみえる vol.8 腎・泌尿器 第3版, p274-275, メディックメディア, 2019
日本臨床腫瘍学会編:新臨床腫瘍学 改訂第6版, p470-471, 南江堂, 2021

膀胱がんの治療法

治療方針は、何をもとに決められますか?

がんに対する治療効果と、治療後の生活への影響なども十分考慮したうえで、個々の患者さんに適した治療法が決定されます。

尿路上皮がんの治療法は、がんの病期のほか、がんの組織型や悪性度、患者さんの全身状態をもとに選択されます。
筋層浸潤性膀胱がんの手術では、膀胱をすべて摘出する手術(膀胱全摘除術)が基本であり、治療後の日常生活に大きな影響を及ぼします。治療法の選択にあたっては、治療の効果や再発リスク、生活環境、年齢などを考慮し、患者さんの希望などを十分考慮したうえで治療方針が立てられます。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん/腎盂・尿管がん」
日本泌尿器科学会編:膀胱癌診療ガイドライン2019年版, p5, 医学図書出版, 2019
日本泌尿器科学会編:腎盂・尿管癌診療ガイドライン2014年版, p29-32, メディカルレビュー社, 2014

膀胱がんの治療法には、どのようなものがありますか?

内視鏡手術(TURBT)、外科手術、薬物療法、放射線療法などがあります。多くの場合、いくつかの治療法を組み合わせて治療を進めます。

膀胱がんでは、まず内視鏡検査を兼ねた「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」が行われます。ここで「筋層非浸潤性がん」と診断された患者さんでは、リスク分類(図「治療の概略(膀胱がん)」参照)に基づき、再度のTURBTや、膀胱内に細胞障害性抗がん剤やBCGを直接注入する局所治療が検討されます。
がんが筋層に及んでいる「筋層浸潤性がん」の患者さんでは、手術で膀胱をすべて摘出するのが基本です(「外科手術」および「外科手術の主な合併症」参照)。必要に応じて手術の前後に薬物治療が追加されることもあります(補助的薬物療法)。
がんが離れたリンパ節や臓器に転移している「転移性がん」の患者さんでは、全身療法である治療的薬物療法が中心となります(Chapter4「薬物療法について」参照)。
病期ごとのおおまかな治療法を次ページ(図「治療の概略(膀胱がん))に示しました。患者さんによって異なることがありますので、詳しくは主治医に確認してください。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
日本泌尿器科学会編:膀胱癌診療ガイドライン2019年版, p5, p28-37, 医学図書出版, 2019
日本臨床腫瘍学会編:新臨床腫瘍学 改訂第6版, p470-474, 南江堂, 2021/

治療メモ
● 筋層非浸潤性膀胱がんの「リスク分類と悪性度」

筋層非浸潤性の膀胱がんでは、がんの数や大きさや広がり、異型度(がん細胞の顔つきの違い)、上皮内がん(CIS)を併発しているかなどの要素をもとに、「低リスク」「中リスク」「高リスク」に分類されます。リスクが高いほど悪性度が高く、膀胱内に再発しやすく、筋層浸潤性膀胱がんに進行しやすいとされています。リスク分類は、今後の治療法を選択するうえで重要な指標となります。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
日本臨床腫瘍学会編:新臨床腫瘍学 改訂第6版, p470-474, 南江堂, 2021
Bajorin DF, et al. N Engl J Med. 2021; 384(22): 2102-2114
Powles T, et al. N Engl J Med. 2021; 384(12): 1125-1135

膀胱がんの外科治療

膀胱がんの外科治療について教えてください

膀胱がんの外科治療は、「内視鏡」でがんを切除する方法と、「外科手術」でがんを切除する方法があります。

膀胱がんの内視鏡手術(TURBT)について

膀胱がんの内視鏡手術は「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」が使われます。麻酔をかけ、尿道から内視鏡を挿入して電気メスでがんを切除します。開腹手術に比べると体への負担が少ない治療ですが、切除後の組織診断で再発リスクが高い場合や周囲に広がっていることがわかった場合は、追加の治療(再度のTURBT、外科的切除、膀胱内注入療法など)が必要になることがあります。

TURBTの主な合併症

血尿や頻尿、排尿時の痛み、細菌感染による発熱などが起こることがあります。施術中は膀ぼうこうへき胱壁に小さな穴があくことがありますが、カテーテルを長期に留置することで多くの場合改善します。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
日本泌尿器科学会編:膀胱癌診療ガイドライン2019年版, p5, p28-32, 医学図書出版, 2019
もっと知ってほしい膀胱がんのこと, p8, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2015

外科手術

膀胱がんでは、膀胱と周囲のリンパ節を切除する「膀胱全摘除術(ぼうこうぜんてきじょじゅつ)」が基本となります。「尿路変向術」もあわせて行われます。

膀胱がんの内視鏡手術(TURBT)について

筋層浸潤性の膀胱がんに対しては、多くの場合「膀胱全摘除術」が行われます。標準的な手術法として、男性では膀胱、前立線、精のう、尿管の一部、骨盤内のリンパ節を摘出します。尿道は、再発リスクや手術の方法(術式)によって切除する場合と切除しない場合があります。女性では膀胱、子宮、腟や尿管の一部、骨盤内のリンパ節を摘出します。
手術では、尿の新たな通り道を作るための「尿路変向術」もあわせて行われます(「尿路変更術」および図「尿路変更術の方法」参照)。

外科手術の主な合併症

つなぎあわせた部分が開いたり(縫合不全(ほうごうふぜん))、癒ゆちゃく着による腸閉塞(ちょうへいそく)、感染症による発熱などがあります。またリンパ節を切除することでリンパ液の流れが滞り、下肢にむくみが生じることがあります(リンパ浮腫)。前立腺や精のうを摘出すると、性機能に障害が起こります。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
日本泌尿器科学会編:膀胱癌診療ガイドライン2019年版, p66-69, 77-78, 医学図書出版, 2019
もっと知ってほしい膀胱がんのこと, p8-11, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2015

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
堀江重郎 他 編:膀胱癌診療最前線, p115, 125, 142-145, メジカルビュー社, 2017
小島祥敬 監修:泌尿器がん 術前術後管理のすべて, p96-100, MCメディカ出版, 2021


尿路変更術

膀胱を摘出したときは、尿を溜めておく場所と尿の出口が必要になります。そのための再建手術を「尿路変向術」といい、膀胱の摘出手術とあわせて行われます。
主な方法は、「回腸導管造設術(かいちょうどうかん)」「自排尿型新膀胱造設術(じはいにょうがたしんぼうこう)」「尿管皮膚瘻 造設術(にょうかんひふろう)」の3つがあります。それぞれ方法や特徴、注意点などが異なりますので、主治医や看護師によく確認し、ご自分の生活スタイルに合わせて選択することが大切です。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
もっと知ってほしい膀胱がんのこと, p10-11, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2015
堀江重郎 他 編:膀胱癌診療最前線, p220-223, メジカルビュー社, 2017

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
病気がみえる vol.8 腎・泌尿器 第3版, p277, メディックメディア, 2019