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本ページは、がん免疫製剤を処方されている方を対象に、適切な治療を受けていただくことを目的としています。

尿路上皮がん

Chapter 1

尿路上皮がんとは

はじめに

尿路上皮(にょうろじょうひ)がんと診断されたあなたへ

尿路上皮がんとは、腎臓の一部である腎盂から、尿管、膀胱、尿道へとつながる尿の通り道にできるがんです。尿の通り道の内側をおおっている「尿路上皮」という粘膜から発生するため、「尿路上皮がん」という名前がついています。「膀胱がん」や「腎盂・尿管がん」は、そのほとんどが尿路上皮がんに含まれます。
このサイトでは、尿路上皮がんと診断された患者さんに、尿路上皮がんとはどのような病気なのか、診断から治療の流れ、主な治療法や治療中のケアなどについてご紹介しています。
病気と向き合い乗り越えていくためには、これから受ける治療やケアなどについてよく理解しておくことが大切です。このサイトを、主治医と治療の進め方などを話し合うときの参考資料としてぜひ活用してください。そして、医師や医療スタッフ、ご家族とともに、勇気をもって治療に取り組んでいきましょう。

尿路上皮がんについて

尿路上皮がんとは、どんな病気ですか?

尿の通り道の内側をおおう粘膜「尿路上皮」から発生するがんのことをいいます。「膀胱がん」と「腎盂・尿管がん」に分けられます

※尿道がんの一部も含まれます。


尿路(膀胱、腎盂、尿管、尿道の一部)の内側は、「尿路上皮」という粘膜でおおわれています。この粘膜から発生するがんは共通する性質を持っているた め、臓器や器官にかかわらず「尿路上皮がん」と呼ばれています。
尿路上皮がんのうち、約9割を占めているのが「膀胱がん」で、日本では年間で約23,000人が膀胱がんと診断されています。「腎盂・尿管がん」は、尿路上皮がん全体の約5%と少なく、膀胱がんに比べるとまれながんといえます。

受診の主なきっかけは、痛みを伴わない血尿です。

尿路上皮がんの特徴的な症状は、血尿です。通常は痛みを伴わず、赤や茶色の尿が出ることで気づかれます。検診などの一般検査で血尿が見つかることもあります。膀胱炎のような症状(頻尿や排尿時の痛み、残尿感など)が見られることもあります。がんで尿管がふさがれてしまい腎臓に尿が溜まった状態(水腎症)になると、わき腹、腰、背中に痛みが生じたり、足がむくむ、といった症状が起こることもあります。がんで尿道がふさがれることもあり、尿が出にくくなることもあります。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん/腎盂・尿管がん/がん統計」
日本泌尿器科学会編:膀胱癌診療ガイドライン2019年版, p10-20, 医学図書出版, 2019
日本泌尿器科学会編:腎盂・尿管癌診療ガイドライン2014年版, p10-11, メディカルレビュー社, 2014

尿路上皮がんには、どんな特徴がありますか?

中高年の男性に多く、喫煙と関わりが深いがんです。また尿路内のいろいろな場所に複数発生しやすい特徴があります。

尿路上皮がんは、男性のほうが女性より多い傾向があります。膀胱がんでは、男性の罹患率は女性の約4倍、腎盂・尿管がんでは2倍以上といわれています。いずれのがんも60歳以上から増えはじめ、高齢になるほど多くなります。
尿路上皮がんにかかる危険性(リスク)を高める原因として重要なのは喫煙です。また、特定の化学物質(芳香族アミンなど)を扱う職業の方では、発症リスクが高まることが知られています。
尿路上皮がんでは、尿路内の同じ臓器や器官にがんが複数できたり、尿路内のいろいろな場所に発生しやすい特徴があります。そのため、尿路内にがんが見つかったときは、他の場所にもがんがないかを、よく確認する必要があります。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん/腎盂・尿管がん」
日本泌尿器科学会編: 膀胱癌診療ガイドライン2019年版, p8-14, 医学図書出版, 2019
日本泌尿器科学会編:腎盂・尿管癌診療ガイドライン2014年版, p10-17, メディカルレビュー社, 2014

尿路上皮がんの種類

尿路上皮がんには、どんな種類がありますか?

尿路上皮がんでは、がんの広がりの程度や特徴などから、次の3つの種類に分けられます。
  • 筋層非浸潤性(きんそうひしんじゅんせい)がん
  • がんが表面の上皮下結合組織までにとどまり、筋層には広がっていない状態のがんです。表面が乳頭状に盛り上がっているのが特徴です。

    病期:0期・Ⅰ期


    上皮内がん(CIS)について

    がんが盛り上がらずに粘膜の壁に沿って横へ広がるタイプのがんをいいます。筋層非浸潤性がんの一種ですが、悪性度の高いがん細胞が広がっている状態であり、再発リスクが高いことが知られています。Tisともいいます(「尿路上皮がんの病期」参照)。



  • 筋層浸潤性(きんそうしんじゅんせい)がん
  • がんが筋層まで広がっている(浸潤している)状態です。膀胱や腎盂・尿管の壁の外側にも広がりやすい特徴があります。

    病期:Ⅱ期・Ⅲ期



  • 転移性がん
  • がんがリンパ節や離れた臓器に転移している状態です。

    病期:Ⅳ期

    病期(ステージ)とは何ですか?どのように決められますか?

    がんの進行の程度を示したもので、治療方針を立てるうえで大切な指標となります。

    尿路上皮がんの病期(ステージ)は、「膀胱がん」「腎盂・尿管がん」ともに、「がんの深さ(T)」「リンパ節への転移の状態(N)」「他の臓器への転移(M)」の3項目をもとに、0とⅠからⅣのローマ数字で表されます(下図参照)。
    Tは、がんが膀胱や腎盂・尿管の組織のどこまで及んでいるか(浸潤しているか)を示すもので「深達度」と呼ばれます(下図参照)。Nは、尿路周囲のリンパ節への転移の程度によって判定されます。Mは、肺や肝臓、骨など他の臓器や、離れた場所へのリンパ節転移の有無で判定されます。

    国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」より作成

    国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん/腎盂・尿管がん」
    日本泌尿器科学会編: 膀胱癌診療ガイドライン2019年版, p17-20, 医学図書出版, 2019
    TNM Classification of MALIGNANT TUMOURS TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版, p202-207, 金原出版, 2017より作成