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本ページは、オプジーボを処方されている方を対象に、適切な治療を受けていただくことを目的としています。

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ホジキンリンパ腫を治療中の患者さんへ

Chapter 1

がんと免疫の関係

はじめに

オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、私たちがもともと持っている免疫の力を回復させることでがんへの攻撃力を高める、これまでとは異なるメカニズムに基づく〝がん免疫療法〟の治療薬です。
このサイトでは、オプジーボによる治療を適切に続けていただくために、薬の特徴や副作用、治療中の注意点についてご紹介しています。
気になる症状をご記入いただく「治療日記」もありますので、併せてご活用ください。
わからないことや不安に思うこと、もっと知りたいことなどがありましたら、医師、薬剤師、看護師にご相談ください。

ホジキンリンパ腫の治療と薬物療法

ホジキンリンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球が〝がん化〟して、リンパ節などでしこり(腫瘤(しゅりゅう))をつくる血液がん(悪性リンパ腫)の一種です。欧米では比較的多くみられますが、日本での発症頻度は年間で2,000人程度と少なく、稀な病気といえます。(2018年8月現在)
ホジキンリンパ腫の治療は、病気の進行度(病期)やタイプ(病型)、患者さんの全身状態などを考慮して決められます。再発をきたした方や、治療の効果がみられない「治療抵抗性」の患者さんについては、これまでの治療歴や年齢、体調なども考慮したうえで治療法が選択されます。
近年は「がんと免疫」に関する研究が進み、これまでと異なる作用を持つ「がん免疫療法」が開発され、再発後の治療の選択肢がさらに広がりました
がん免疫療法の薬は、そのメカニズムから「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれています。

Aoki R et al. Pathol Int 2008; 58: 174-182.
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」,地域がん登録全国合計値(2014年)より
日本血液学会編:造血機腫瘍診療ガイドライン2018年版, 金原出版, 2018

がんと免疫の関係

ここで、がんと免疫の関係について簡単に紹介します。
私たちの周りには、細菌やウイルスなどの病原体が無数にあり、体の中に侵入してきます。こうした病原体やがんなどから体を守っているのが「免疫」です。
免疫は、常に体の中を監視していて、自分ではないもの(異物)を見つけると、攻撃して体から取り除いています。また免疫は、がん細胞も異物とみなして攻撃します。
私たちの体の中には、毎日、多数の異常な細胞が発生していますが、通常は免疫の力によって取り除かれているのです。

  • 血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種で、異物から体を守る司令塔となる細胞です。

やさしく学べるがん免疫療法のしくみ, p14-16, 羊土社, 2016

がんの免疫逃避と免疫チェックポイント

がん細胞は免疫の働きにブレーキをかけてその攻撃から逃れています。

ところが、がん細胞は、正常な細胞から変化していくなかで、いろいろな特性を得ます。そのなかのひとつが、免疫から逃れる能力(免疫逃避)です。
もともと免疫細胞には、免疫が過剰に働いて正常な細胞も攻撃の対象になることを防ぐためのブレーキとなる制御システムが備わっています。これを免疫チェックポイント機構といいます。
最近の研究で、がん細胞は、PD-L1という物質をつくり出し、T細胞に発現している物質(PD-1)と結合して、「働きを止めろ!」という信号を送ることで、T細胞の攻撃から逃れていることがわかってきました。
PD-1とPD-L1が結合すると、免疫の働きにブレーキがかかり、がん細胞への攻撃ができなくなります。

やさしく学べるがん免疫療法のしくみ, p26-29, 羊土社, 2016