悪性黒色腫と診断するには、まず肉眼やダーモスコピーによる観察を行います(「主な検査方法」参照)。そして確定診断や、腫瘍の厚さを調べるために、病変を切除して採取した組織を顕微鏡で調べる生検が行われますが、診断が明らかな場合には、生検が行われない場合もあります。確定診断に至ったら、他の部位への転移の有無を調べるための画像検査(CT、MRI、PET(ペット)、X線検査、超音波検査など)や、心機能、肺機能、腎機能などを調べる検査が行われます。
国立がん研究センター がん情報サービス「悪性黒色腫」
*生検については下記「主な検査方法 皮膚生検」をご参照ください。
日本皮膚科学会「皮膚悪性腫瘍ガイドライン(WEB版)診療アルゴリズム」
日本皮膚科学会/日本皮膚悪性腫瘍学会:皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 メラノーマ診療ガイドライン2019
国立がん研究センター がん情報サービス「悪性黒色腫(皮膚)」
がんの病期は、がんの大きさ(T)、リンパ節への転移の状況(N)、他の臓器への転移(M)の3項目をもとに、大きくⅠ~Ⅳ期に分類されます(TNM分類)。悪性黒色腫では、T は腫瘍組織の厚さと潰瘍の状態、N はリンパ節や周囲の皮膚への転移の程度、M は他の臓器への転移の有無によって判定されます。治療を始める前に判定されるこの病期を「臨床病期」といい(表1)、がんの進行や治療の方法を決めるうえで、重要な判断材料となります。
AJCC Cancer Staging Manual, 2017より作成
AJCC Cancer Staging Manual, 2017より作成
悪性黒色腫の転移には、リンパ管を介して転移する「リンパ行性転移」と、血管を通ってがんが転移する「血行性転移」があります。
悪性黒色腫は、比較的早い段階から腫瘍組織の近くにあるリンパ節(所属リンパ節)に転移する可能性が高いことが知られており、日本の患者さんでは、およそ4分の1の方にリンパ節転移がみられます1)。リンパ節への転移の有無を調べるためにセンチネルリンパ節生検を行うことで、顕微鏡を使用しないと見つけられないような早期の転移を確認することができます(Chapter 3 図「センチネルリンパ節生検とリンパ節郭清について」参照)。
また、転移にはがん細胞が血液の流れにのって、腫瘍組織からはなれた臓器に移動し、そこで大きくなる遠隔転移があります。悪性黒色腫では、脳、肺、肝臓、消化管などへの転移がみられます。
1) Fujisawa Y, et al. Cancer Med., 8(5): 2146–2156. 2019
2) 遠隔転移巣の手術. Nippon Rinsho. 71(Suppl 4): 322-324, 2013
3) 日本皮膚悪性腫瘍学会編: 皮膚悪性腫瘍取扱い規約 第2版, 金原出版, 2010