がんの病期は、がんの広がり(T)、リンパ節への転移の状態(N)、他の臓器への転移(M)の3項目をもとに、大きくⅠ〜Ⅳ期に分類されます(TNM分類)。
Tは、胃がんの外側方向への浸潤(しんじゅん)(深達度(しんたつど))、Nは、胃周囲のリンパ節への転移の程度によって判定されます。 Mは、他の臓器や胃周囲のリンパ節以外のリンパ節への転移の有無で判定されます。
治療を始める前に判定されるこの病期を「臨床病期」といい、がんの進行度や治療の方針を決めるうえで、重要な検討材料になります※。
臨床病期とは別に、胃がんはその深達度から「早期胃がん」と「進行胃がん」に分けられます。「早期胃がん」とは、がんが粘膜下層までの浸潤に留まるもので、「進行胃がん」とは固有筋層よりも深く浸潤しているものをいいます。これらはがんの進み具合を具体的に示すものではありませんが、「早期胃がん」では転移していることが少なく、「進行胃がん」ではより深くまで浸潤するほど、リンパ節や他の臓器への転移が多くなることが知られています。
もっと知ってほしい胃がんのこと, p6, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2016
日本胃癌学会編:胃癌取扱い規約第15版, p17, 26, 金原出版, 2017
病気がみえる vol.1 消化器 第5版, p119, メディックメディア, 2016
インフォームドコンセントのための図説シリーズ 胃がん 改訂版, p25, 医薬ジャーナル社, 2012
TNM Classification of MALIGNANT TUMOURS Eighth Edition, WILEY B lackwell, p65, 2017
検診でのX線検査や、血液検査で行えるABC検診などのスクリーニング検査で胃がんが疑われた場合は、精密検査として内視鏡検査を行い、組織を採取して(生検)、がんかどうかを病理検査で確定します。
胃がんと診断された場合は、さらに画像検査(CTやMRIなど)によって、がんの広がりや転移の有無などを確認し、病期を判定します(図表「胃がんの臨床病期(ステージ)分類」、「胃がんの深達度(T分類)」参照)。
もっと知ってほしい胃がんのこと, p5, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2016
インフォームドコンセントのための図説シリーズ 胃がん 改訂版, p42-49, 医薬ジャーナル社, 2012
国立がん研究センター がん情報サービス「胃がんの検査」
日本臨床外科学会ホームページ「胃がんと診断されたら(1)検査と診断の基礎知識」