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「がん免疫.jp」は、がんと向き合う方やそのご家族の方を含む、がん免疫について詳しく知りたい方を対象としています。

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食道がん

Chapter 3

食道がんの治療

食道がんの治療方針

治療方針は、何をもとに決められますか?

がんに対する治療効果と、治療後の生活への影響なども十分考慮したうえで、個々の患者さんに適した治療法が決定されます。

消化管のひとつである食道には、飲み込んだ食べ物を胃に送り込む重要な働きがあり、また、食道のまわりには、肺や心臓など生命を維持するうえで欠かせない重要な臓器がたくさんあります。
このため、食道がんの治療法を選択する場合は、がんの位置(原発部位)と病期、治療後の生活への影響などを十分考慮し、個々の患者さんの状態に応じた治療方針が決められます。

治療法には、どのようなものがありますか?

手術、薬物療法、放射線療法、内視鏡的治療があります。食道がんでは、これらを組み合わせた「集学的治療(しゅうがくてきちりょう)」が行われます。

多くの食道がんの患者さんは、いくつかの方法を組み合わせて治療を進めます。これを集学的治療と言います。とくに進行したがんや、他の臓器にもがんが発生している患者さんでは、治療効果を高めるために行われます。
病期ごとのおおまかな治療法を下図に示しました。患者さんによって異なることがありますので、詳しくは主治医に確認してください。

  • 対症療法とは?
    病気に伴う症状を和らげるための治療です。がんを取り除くといった、根治を目指す治療ではありませんが、つらい症状に対応して痛みや不快な症状を取り除くことで、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を維持することを目指します。

国立がん研究センター がん情報サービス 「食道がん」
日本食道学会 編:食道癌 診療ガイドライン2017年版, p16,24,33, 金原出版, 2017

食道がんの手術

食道がんの手術について教えてください

手術は、がん組織を切り取る治療法です。食道がんの病期により、手術の方法が異なります。

食道がんには、通常、がんを含む食道と近くのリンパ節を切除し、胃や腸を使って食べ物の通り道を作り直す手術が行われます。しかし、早期の食道がんであれば、内視鏡を使ったがんの局所切除が可能です。がんの位置や進行度、患者さんの状態に応じて、手術の方法が計画されます。

内視鏡的治療の種類と進め方

内視鏡によるがんの切除は、からだの負担が少なく、回復が早いのが特徴です。内視鏡的治療には、がんの病巣をスネア(ワイヤー)で引っかけて切り取るEMR(内視鏡的粘膜切除術)と、電気ナイフで病巣を削り取るESD(内視鏡的粘膜下層剥離(かそうはくり)術)があります。
治療後に切除した組織を顕微鏡で詳しく調べます。がんが残っている可能性やリンパ節転移の可能性が高いと判断された場合には、ほかの治療法(手術や化学放射線療法)を追加します。

国立がん研究センター がん情報サービス 「食道がん」
日本食道学会 編:食道癌 診療ガイドライン2017年版, p46-60, 金原出版, 2017

手術の種類と進め方

食道がんの手術は、消化器の手術の中でももっとも難しいと言われており、手術時間も長時間に及ぶことが少なくありません。
食道がんの手術は、どこに、どれくらいのがんができているかにより、方法は異なりますが、病巣がある食道と周囲のリンパ節を切除し、失った食道の再建を行うという点では共通しています。

国立がん研究センター がん情報サービス 「食道がん」
日本食道学会 編:食道癌 診療ガイドライン2017年版, p46-60, 金原出版, 2017

国立がん研究センター がん情報サービス 「食道がん」
日本食道学会 編:食道癌 診療ガイドライン2017年版, p46-60, 金原出版, 2017

手術後の合併症

手術に伴って起きてくるさまざまな症状やトラブルを合併症と言います。
食道がんの手術は、からだへの負担が大きく、合併症が起こるリスクも高いのが実情です。合併症が起きると、入院期間が長くなったり、再度手術をするなどの対処が必要になることがあります。

国立がん研究センター がん情報サービス 「食道がん」
日本臨床外科学会 「一般のみなさま 食道がんと診断されたら」

国立がん研究センター がん情報サービス 「食道がん」
日本臨床外科学会 「一般のみなさま 食道がんと診断されたら」

放射線療法について

放射線療法とは、どのような治療法ですか?

高エネルギーのX線などを使ってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑える治療法です。食道がんでは、薬物療法と併用するのが一般的です。

食道がんの治療の大きな柱となるのが放射線療法です。また、放射線療法は、食道や胃、喉頭(こうとう)(声帯)の機能の温存が可能です。

治療の種類と進め方

治療方法は、外から放射線を照射する「外照射法」という方法です。効果の増強を目指して抗がん剤と組み合わせて用いるのが一般的です。
放射線単独では、食道をふさぐ病巣を縮小させ、食べものが通るようにするなど症状緩和の目的で使われます。

治療スケジュール

放射線単独療法は、通院での治療が可能ですが、抗がん剤を併用するときには入院が必要です。スケジュールは、抗がん剤と組み合わせる場合、通常、週5日間を6週間ほど継続します。1回の照射にかかる時間は数分で、痛みはありません。ただし、治療を中断すると十分な効果が得られなくなりますので、職場や家庭での協力を得るなどして、できるだけ治療を継続できる環境を整えることが重要です。

放射線療法の主な副作用

放射線療法の副作用には、照射後数週間以内の「急性期」に発症するものと、照射後数ヵ月〜数年以内の「晩期」に発症するものがあります。副作用の程度は個人差がありますが、急性期に起きる副作用の多くは、治療終了後1ヵ月程度で改善します。
予想される副作用については、あらかじめ放射線療法の担当医や医療スタッフによく確認し、納得して治療に臨むことが重要です。

祖父江由紀子 他編:がん放射線療法ケアガイド 第3版, p194-198, 中山書店, 2019
国立がん研究センター がん情報サービス 「放射線治療」
国立がん研究センター がん情報サービス 「食道がん」

放射線療法を受けるにあたり、日常生活で注意することはありますか?

放射線治療による食道炎や粘膜炎で、口の中やのどが荒れたり、食事の際に違和感や痛みが出現する場合があります。
日常生活でのセルフケア

〈口の中、のど、食道の粘膜に対するケア〉

  • 口やのど、食道の粘膜に負担をかけないように、食べ物をゆっくり噛み、食べ物や飲み物を飲み込む1回の量も少なくしましょう。
  • 粘膜を刺激しないように、かたいものや熱いもの、辛味の強い刺激物は避け、やわらかくて、のどごしのよい食事を摂るようにしましょう。
    (例:水分の多いおかゆやスープ、ヨーグルトやゼリー、豆腐など)
  • 毎食後にやわらかい歯ブラシで歯をみがき、口の中を清潔にしましょう。
  • こまめにうがいをして、乾燥を防ぎましょう。誤嚥(ごえん)を避けるため、うがいは上を向いて行う“ガラガラうがい”ではなく、顔を上げずに水を含んで行う“ぷくぷくうがい”にしましょう。
  • お酒やタバコは、厳禁です。

〈放射線をあてた部位の皮膚炎に対するケア〉

  • 摩擦(まさつ)などの刺激を避けることが大切です。照射した部位をゴシゴシこすらないようにしましょう。
  • かゆみやひりひりした感じがある場合は、冷たいタオルなどで冷やすと症状が改善することがあります。

〈食事をするときのケア〉

  • 高齢の方には、誤嚥を防ぐために、とろみをつけた調理の工夫をし、薬を飲むときには服薬ゼリーなどを使うこともおすすめです。痛みが強い場合は口腔内保護剤や鎮痛剤もありますので、医師や看護師にご相談ください。

祖父江由紀子 他編:がん放射線療法ケアガイド 第3版, p194-198, 中山書店, 2019
国立がん研究センター がん情報サービス 「放射線治療」
国立がん研究センター がん情報サービス 「食道がん」