文字サイズ変更

「がん免疫.jp」は、がんと向き合う方やそのご家族の方を含む、がん免疫について詳しく知りたい方を対象としています。

閉じる

大腸がん

Chapter 4

大腸がんの薬物療法

薬物療法について

薬物療法とは、どのような治療ですか?

薬剤を全身に行き渡らせて、がん細胞を攻撃する治療法です。
大腸がんでは、手術後に行う「術後補助化学療法」と、切除ができない進行・再発大腸がんに対する薬物療法があります。
  • 術後補助化学療法は、手術後に残っている可能性がある目に見えないがん細胞を根絶し、再発を防ぐために行われます。主な対象は、ステージⅢ、または再発の危険性が高いと考えられるステージⅡで、全身状態が良好な患者さんです。
    「フッ化ピリミジン系」と呼ばれる抗がん剤を中心に、単剤、または作用の異なる薬を組み合わせた治療法が用いられます。
    治療は、術後8週間ごろまでに開始し、6ヵ月間続けるのが一般的です。

  • 切除が難しい進行・再発大腸がんに対する薬物療法では、がんの進行スピードを抑え、つらい症状を緩和して、よい状態を長く維持することを目指します。
    使われる薬剤は、「抗がん剤」「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」などの種類があり、患者さんの全身状態や合併症の有無、がん細胞の性質(遺伝子変異など)を考慮して決められます。
    初回治療では、複数の抗がん剤に1種類の分子標的薬を加えた治療法を行うのが一般的です。ただし、BRAF(ビーラフ)遺伝子検査で異常が認められた患者さんでは、使われる薬剤が異なることがあります。
    最近は、薬物療法が大きく進化し、治療の反応性を予測するための検査法も登場したことで、個々の患者さんの状態に応じた治療が行えるようになってきました。

大腸癌研究会編, 大腸癌治療ガイドライン 医師用 2019年版, p31-41, 69, 金原出版, 2019
国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p14-18, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019

大腸癌治療ガイドライン 医師用 2019年版, p31-41,76-77, 金原出版, 2019
国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p14-18, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019

薬物療法の副作用とケア

薬物療法で使われる薬の副作用には、どのようなものがありますか?

副作用の種類や程度は、薬剤の種類や量によって異なります。
治療中や治療後に、いつもと違う体調の変化を感じたら、医師や薬剤師、看護師にすぐに相談しましょう。
大腸がんの治療で使用される「抗がん剤」の主な副作用
  • 悪心(おしん)(吐き気)・嘔吐、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)(手足のしびれ)、骨髄抑制(こつずいよくせい)(白血球減少など)、貧血、食欲不振、色素沈着、口内炎、下痢などです。これらの出現時期はだいたいわかっており、状況に応じて、副作用を軽減させる薬を使うなど体調管理の対策を講じながら治療を進めます。

〈吐き気や嘔吐の対処法〉

  • 吐き気や嘔吐は、起きてから対処するより予防することが大切です。
  • 医師から処方された吐き気止めの薬は、指示どおり服用しておきましょう。
  • 吐き気が起きた場合は、番茶、レモン水、炭酸水、氷水などでうがいをすると落ち着くことがあります。氷片などを口に含むのもよいでしょう。

〈末梢神経障害の対処法〉

  • 冷たいものに触れることで症状が悪化することが多いので、冷水や冷たい飲食物を避け、ドアノブなども直接手に触れないようにしましょう。
  • 手袋や靴下を着用して、体を冷やさないようにしましょう。

〈白血球減少に伴う感染症の対処法〉

  • うがいや手洗いを徹底しましょう。
  • 外出時はマスクをし、できるだけ人混みを避けましょう。
  • 入浴やシャワー、歯みがきなどを心がけて、体を清潔に保ちましょう。
  • 刃のあるカミソリは肌を傷つけやすいので、ひげ剃りは電気カミソリを使用して、切り傷を予防しましょう。

〈口内炎の対処法〉

  • 虫歯、歯肉炎がある場合は、抗がん剤投与前に治療しておきましょう。
  • 口腔内や唇の乾燥予防に、うがいをしたり、リップクリームを使用して保湿しましょう。
  • こまめにうがいをしましょう。やわらかい歯ブラシで、ていねいにみがきましょう。
  • 熱いものは冷ましてから食べましょう。

〈下痢の対処法〉

  • 消化の良いもの(おかゆや煮込んだうどんなど)を食べ、食事は何回にも分けて少しずつとりましょう。
  • 乳製品や香辛料、アルコール、カフェイン、食物繊維や脂肪の多い食事、生ものは避けましょう。
  • 脱水が生じないように、十分な水分補給を心がけましょう。

国立がん研究センター がん情報サービス「化学療法全般について」
がん化学療法副作用対策ハンドブック 改訂版, p64, 82, 羊土社, 2015
がん薬物療法の支持療法マニュアル, p21-25, 60, 南江堂, 2013

大腸がんの治療で使用される「分子標的薬」の主な副作用
  • 皮膚症状(にきびのような発疹、皮膚の乾燥など)、爪のまわりの炎症、手足症候群(手のひらや足底の痛み、赤く腫れる、皮膚がむける、水疱など)、下痢、高血圧、粘膜からの出血(鼻血など)、アレルギー反応、などです。

〈手足症候群の対象法〉

  • 症状が出る前から保湿剤を使ったスキンケアを行います。症状が現れたときにはステロイド外用剤などで早めに対処することが大切です。
  • 長時間歩いたり立ちっぱなしでいるのは避けましょう。柔らかい靴底や中敷などを使うなどして、足に過度な刺激や負担がかからないように工夫しましょう。

〈高血圧の対処法〉

  • 日々の血圧を家庭でも測定しましょう。血圧が上昇していた場合は、医師の指示のもと、降圧剤などを用いて血圧をコントロールするとよいでしょう。

〈鼻血の対処法〉

  • 鼻血が出ることがありますが、大抵は軽度ですので、安静にしているとよいでしょう。
    出血がなかなか止まらない場合は、医療スタッフに伝えましょう。

がん化学療法副作用対策ハンドブック 改訂, p326-329, 羊土社, 2015
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p20-21, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019
国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん・治療」

大腸がんの治療で使用される「免疫チェックポイント阻害薬」の主な副作用
  • 関節炎、かゆみ、だるさ、吐き気、下痢などです。稀(まれ)ではありますが、間質性肺疾患(かんしつせいはいしっかん)、重度の皮膚障害、肝機能障害、甲状腺機能障害など、免疫の活性化に伴う副作用が生じることも報告されています。免疫関連の副作用は多くの場合、ステロイド剤などの免疫抑制薬で対処できます。

〈免疫関連の副作用―間質性肺疾患の対処法〉

  • 頻度は低いものの、特に注意が必要な副作用として、間質性肺疾患が報告されています。特徴的な症状は息切れ、息苦しい、発熱、痰のない乾いた咳、疲労などです。風邪の症状と似ていますが、早めの対応が非常に重要ですので、気になる症状が現れた場合は、すぐに主治医に連絡しましょう。

〈免疫関連の副作用―下痢の対処法〉

  • 免疫チェックポイント阻害薬による下痢は、抗がん剤や分子標的薬でみられる下痢とは対処法が異なります。下痢が続く場合は、すぐに主治医に連絡しましょう。

もっと知ってほしい大腸がんのこと, p20-21, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019
がん免疫療法ガイドライン第2版, p1, 22-25, 36-39, 金原出版, 2019