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大腸がん

Chapter 3

大腸がんの治療

大腸がんの治療方針

治療方針は、何をもとに決められますか?

治療効果と治療後の生活への影響を十分考慮したうえで、個々の患者さんに適した治療法が検討されます。

大腸がんの治療法は、がんの病期のほか、がんが発生した部位や再発リスクの程度、患者さんの全身状態や生活への影響など様々な状況を考慮し、患者さんにとって最もふさわしいと考えられる治療法が選択されます。

国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
国立がん中央病院がん攻略シリーズ 最先端治療 大腸がん, p42-46, 法研, 2018

治療法には、どのようなものがありますか?

内視鏡治療、外科手術、薬物療法、放射線療法などがあります。

大腸がんの治療は、外科的にがんを切除することが中心となります。がんが他の臓器に転移している場合でも、取り切ることが可能であれば手術で切除します。また、当初は切除できないと考えられていたがんに対しても、薬物療法を行うことで切除が可能になることがあります。切除が難しい場合は、手術以外の治療(薬物療法や放射線療法)を中心に治療を進めます。
大腸がんの病期ごとのおおまかな治療法を下図に示しました。患者さんによって内容が異なることがありますので、詳しくは主治医に確認してください。

国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p8-9, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019

内視鏡治療について

大腸がんの内視鏡治療とは、どのような治療ですか?

肛門から入れた内視鏡(大腸内視鏡)を使ってがんを切除する治療法です。
がんが粘膜内にとどまっている早期の大腸がんに対して用いられます。

内視鏡の先端に開いている穴から専用の器具を出し、モニターに映し出された画像を見ながらがんを切除します。大腸の粘膜には痛みを感じる神経がないため、内視鏡治療でがんを切除しても痛みを感じることはありません。
一般的に内視鏡治療に適しているのは、大腸がんのうち次の2つの条件を満たしているものとなります。

  • 大腸がんが粘膜内、または粘膜下層の浅い部分にとどまっていると予想されるもの

  • 無理なく1回で切除できる大きさのもの

内視鏡治療の方法

内視鏡治療には「ポリペクトミー」「内視鏡的粘膜切除術(ねんまくせつじょじゅつ)(EMR)」「内視鏡的粘膜下層剥離術(ねんまくかそうはくりじゅつ)(ESD)」の3つの方法があり、がんの形や大きさに応じて使い分けられます。
多くの場合、日帰り、または短期間の入院で行われます。ただし、病理検査の結果によっては、後日、手術による追加の切除が必要となる場合もあります。

国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
大腸癌研究会編, 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版, p18-21, 2014
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p10-11, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019

大腸癌研究会編, 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版, p18-21, 2014
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p10-11, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019 より作図

内視鏡治療の合併症

頻度は少ないものの、出血したり、腸管に穴があく(腸管穿孔(ちょうかんせんこう))などの合併症が起こることがあります。こうした合併症が起こった場合は、入院期間が長くなることがあります。

国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p10-11 NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019

手術による外科切除について

大腸がんの手術について教えてください

がんが広がっている可能性のある腸管とリンパ節を切除します。
直腸がんの手術では、肛門を残す方法と残さない方法があります。

大腸がんの手術は、十分な安全域をとってがんがある腸管を切り取り、リンパ節を一緒に切除するのが基本です。がんが離れた臓器まで転移している場合は、切除が可能であれば、転移したがんも切除します。

  • 結腸がんの手術では、がんから十分な安全域をとって腸管を切り取り、周囲のリンパ節も切除します。切除後は、残った腸管どうしをつなぎ合わせます(吻合(ふんごう)といいます)。
    手術で20cm程度を切除した場合でも、残った大腸が働いてくれるため、栄養の消化・吸収に影響が及ぶことはなく、特別な後遺症もほとんどありません。

  • 直腸がんの手術は、肛門を残す「括約筋温存(かつやくきんおんぞん)手術」と、肛門を残さない「直腸切断術(ちょくちょうせつだんじゅつ)」の2つに大きく分けられます。
    「括約筋温存手術」では、がんのある腸管と転移している可能性のあるリンパ節を切除し、残った腸管どうしをつなぎ合わせます。肛門は残るため、手術後も肛門から排便できます。
    「直腸切除術」では、がんとリンパ節、肛門を切除し、肛門の代わりとなる人工肛門(ストーマ)をつくります。最近は手術技術が進歩したことで、肛門に近いがんでも、肛門を残すための手術法が工夫されるようになってきました。
    どのような方法がよいかは、がんがある場所やがん進行程度、患者さんの状態などを総合して決められます。

大腸癌研究会編, 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版, p22-29, 2014
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p12-13, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019

大腸癌研究会編, 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版, p22-29, 2014
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p12-13, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019より作図

手術方法には、どのようなものがありますか?

「開腹手術」と「腹腔鏡下(ふっくうきょうか)手術」があります。

大腸がんの手術方法は、腹部を開いて手術を行う「開腹手術」と、お腹に数ヵ所小さな穴をあけ、専用のカメラと手術器具を入れて手術を行う「腹腔鏡下手術」に分けられます。手術方法は異なりますが、お腹の中で行われることはどちらも同じです。
腹腔鏡下手術では、お腹の傷が小さいことや、痛みが少なく術後の回復が早いといった利点があります。ただし、手術時間が長くなることや、開腹手術とは異なる技術が必要となるため、医師とよく相談することが大切です。また、がんができた位置や大きさ、以前に受けた手術、患者さんの体格(肥満)などによっては、腹腔鏡下手術が行えない場合もあります。

大腸癌研究会編, 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版, p29, 2014
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p12-13, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019

大腸癌研究会編, 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版, p29, 2014 より作図

手術の合併症と後遺症

手術による合併症や後遺症はありますか?

大腸がんの手術では、次のような合併症や後遺症が起こる場合があります。
気になる症状があったら主治医に相談してみましょう。
主な合併症

●縫合不全(ほうごうふぜん)

縫い合わせた腸がうまくつながらず、腸管のつなぎ目から便が漏れ出ることをいいます。炎症が軽度であれば食事制限や点滴治療で改善することがありますが、発熱や腹痛など腹膜炎の症状がある場合は、再手術が必要なことがあります。

●腸閉塞(ちょうへいそく)(イレウス)

手術の影響で腸がうまく働かず、便の通りが悪くなった状態のことをいいます。食事を控えたり、腸の動きをよくする薬を飲むなどの対応を行ったり、鼻からチューブを使って胃液や腸液を排出させることで多くの場合改善します。

●創感染(そうかんせん)

手術したお腹の表面の創が化膿し、腫れや痛み、発熱などが起こります。縫い合わせた皮膚を開き、たまった膿を出すことで、徐々に治ります。

主な後遺症

●排尿障害

直腸の周りには、泌尿器や生殖器の機能をつかさどる自律神経が集まっています。この自律神経がダメージを受けると、尿意が鈍くなったり、排尿しても膀胱に残っている尿量(残尿)が多くなることがあります。

●排便障害

直腸がんの手術で直腸が切除されると、便をためておく部分が小さくなり、便の回数が増えたり、排便を我慢できなくなったりします。また、肛門括約筋をコントロールする自律神経が傷つくと、排便を我慢できなくなったり、便意がよくわからなくなることもあります。

●性機能障害

生殖器の機能をつかさどる自律神経がダメージを受けると、性機能も障害されます。
特に男性で起こりやすく、射精障害や勃起障害が多くみられます。

大腸癌研究会編, 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版, p30-31, 2014
大腸がんと言われたら, p101-106, 保健同人社, 2008
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p12-13, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019
国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」

国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p12-13, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019

放射線療法について

放射線療法とは、どのような治療ですか?

高エネルギーのX線などを使ってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑える治療法です。
薬物療法と併用されることもあります。

大腸がんに対する放射線療法は、手術後の局所再発を防いだり、がんを小さくして肛門を温存することを目的に行われます(補助放射線療法)。
照射を行う時期は、手術前手術中手術後の3種類あります。また、転移がある場合は、転移巣への局所治療として使われることもあります。
最近では、一部の専門施設で、最新医療として陽子線や重粒子線を用いた治療も行われています。

治療スケジュール

治療は、治療の目的やがんの種類ごとに立てられた治療計画をもとに進められます。多くの場合、毎日少量ずつに分けて放射線を照射します。1回の照射にかかる時間は数分で、痛みはありません。

放射線療法の副作用

主な副作用は、治療中に起こる早期合併症と、治療後、しばらく経ってから起こる晩期合併症があります。症状は照射する部位によっても異なります。

国立がん研究センター がん情報サービス「放射線療法総論」
大腸癌研究会編, 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版, p44, 2014
大腸がんと言われたら, p128, 保健同人社, 2008