がん免疫(I-O)療法は、その臨床的なエンドポイントに
対する評価に、より包括的なアプローチを必要としています。

I-O療法のもつ臨床的なベネフィットを測るために評価方法を再構築する必要があります。

  • がん治療の潜在的なベネフィットの評価に使われている基準は、外科治療、放射線療法、化学療法などの従来の治療に基づいています1
  • I-O療法はそれらの治療法と異なるメカニズムで作用するため2、その潜在的なベネフィットを調べるためには、より包括的なアプローチによってエンドポイントを評価する必要があります3-6

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OSとPFSは臨床的なベネフィットを評価する最も一般的なエンドポイントです。

  • がん研究において、治療の転帰を測るために用いられるエンドポイントとして、全生存期間(OS)無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)が従来用いられてきました7,8
  • がん研究は患者さんの生存期間の延長を目指すものであり、OSが治療のベネフィットを評価するゴールドスタンダードとされています7,8

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縮小の程度とその期間の両方が奏効を測る上での鍵となります。

  • 治療効果は縮小の程度(size)と期間(time)の両方で評価されます7
  • ORRは事前に規定された腫瘍量の減少に基づき、そのカテゴリーに含まれる患者さんの割合として示されます7
    • ORRには、縮小の程度のみが反映され、一般的(RECISTなど)には部分奏効(PR)と完全奏効(CR)の合計として定義されています7
  • 奏効期間(DOR)は、腫瘍縮小(PR以上)が確認された時点から、増悪が確認されるまでの期間として定義されています7
    • 臨床的アウトカムに焦点をおいた評価の際は、DORを用いることで、より潜在的なベネフィットを反映できる可能性があります8
  • 縮小の程度と期間という治療効果には幅があるため、これらの指標は併せて評価するべきであり、それによってI-O療法の研究の進歩に対する正確な評価につながると考えられます8

イメージ図

上記のウォーターフォールプロットはORRデータを反映しています。この例では、縦棒は個々の患者さんにおける腫瘍量について、ベースラインからの変化を示しています7,9
スイマーズプロットは奏効の持続を反映しています。この例では、横棒は個々の患者さんにおける奏効の期間を、奏効を確認した時点、治療の継続状況などとともに示しています。

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複数の評価項目を適用することにより、臨床的なベネフィットの全体像を描くことが可能になります。

  • 臨床試験の全期間と特定の時点(タイムポイント)において様々な評価項目を解析することは、I-O療法の潜在的なベネフィットを深く理解するために有用である可能性があります3-5,10
  • これらの評価項目には、中央値、タイムポイント解析、ハザード比(HR)や相対リスク減少(RRR)などが含まれます3-5,10,11
    • それぞれの評価項目からは、特有の観点で治療ベネフィットが見出されます。

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Kaplan-Meier(KM)曲線は様々な観点を反映する生存期間解析です。

  • KMの生存曲線には期間中央値、タイムポイント解析、HRの情報が統合されています5,10,12
  • これらの評価項目を組み合わせて解析することで、例えばOSやPFSに関しては、治験薬群とコントロール群の間に存在する差異を見出すことができます。例として、無作為化比較試験を仮想した結果の2つのパターンから、データの見方を紹介します3-5,10,13

イメージ図

同一視できない、中央値の差が6ヵ月という結果

パターンAとパターンBはいずれも生存期間中央値が等しく、その差も6ヵ月と同じです。しかし、KM曲線が示すように、両パターンにおけるイベント発生率が治療期間を通じて異なることから、治療期間全体での治療群間の評価は中央値だけで判断することはできません。

中央値にタイムポイントを加えて解析した場合

タイムポイントとして設定された24ヵ月時点において、パターンAで10%、パターンBで30%の治療群間差が認められます。中央値の値と差は同じであっても、タイムポイント解析を加えることで治療群間の差が明確になる場合があります。

HRや相対リスクの減少を加えて解析した場合

パターンAではHR=0.75でリスクを25%低減させたということになり、パターンBではHR=0.35でリスクを65%低減させたということになります。KM曲線が示すように、両パターンにおけるそれぞれの治療群でイベント発生率が異なりますが、パターンAでは早期のハザードの差が反映された結果と読み取れ、パターンBでは治療全期間におけるハザードの差が反映されていると読み取れます。

*両群間の差の有無は、log-rank検定により算出されたp値によって統計学的に検討されます14

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臨床的なベネフィットを提供する、その他の評価方法やエンドポイント。

  • Treatment-free survival[無治療生存期間(TFS)]は、先に施行した治療の終了後に、次治療を受けるまでの無治療(off treatment)の期間を解析する評価方法です15,16
    • TFSは、次治療の開始または死亡をイベントとして描かれるKM曲線と、先に施行した治療の終了をイベントとして描かれるKM曲線との間の領域として定義されます15
    • TFSは、Intent-to-treat(ITT)集団において、特定タイムポイントもしくは治療全期間での解析結果が示されることになると考えられます15
    • TFSは、患者さんのoff treatmentの期間におけるQOLや有害事象の発現状況を組み入れて解析することも可能です15,16
    • この点において、TFSは治療の終了から次治療の開始までの期間を示すTreatment-free interval(TFI)とは対照的なエンドポイントになります15-18
  •  *Time after cessation of I-O protocol therapy without toxicity, before initiation of subsequent systemic anticancer therapy or death.
  • †Time after cessation of I-O protocol therapy with toxicity while treatment-free.
  • ‡Includes toxicity persisting since protocol therapy and toxicity newly presenting after protocol therapy cessation.
  • Patient reported outcomes[患者報告アウトカム(PROs)]は、身体的、心理的、社会的などの指標を用いて、健康関連QoL(HRQoL)について、臨床側からの解釈やバイアスを含めずに患者さんが経験したままに評価するものです19,20。
    • PRO評価は、臨床試験において主に副次的評価項目として、また時として主要評価項目として設定されるようになってきました19-21
    • PRO評価は、治療が患者さんに及ぼす影響について評価されることから、治療法の決定に関する情報提供に有用となる可能性があります22
  • 様々ながん患者さんに対してEuropean Organization for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire Core 30(EORTC QLQ-C30)などの検証された調査票を用いることで、医療従事者はPRO評価の情報を得られるようになってきました23

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REFERENCES‒I-O研究におけるエンドポイントの検討

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