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「がん免疫.jp」は、がんと向き合う方やそのご家族の方を含む、がん免疫について詳しく知りたい方を対象としています。

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悪性胸膜中皮腫

Chapter 4

悪性胸膜中皮腫の薬物療法

薬物療法について

薬物療法とは、どのような治療ですか?

薬剤を使って、がん細胞の増殖を抑える治療法です。病気を治しきる治療ではなく、進行を抑えながら少しでもよい状態を保つことを目指します。

薬物療法は、手術が行えない患者さんに対する中心的な治療法です。また、治療効果を高める目的で、手術と組み合わせて行われることもあります(術前療法・術後療法)。
悪性胸膜中皮腫の薬物療法は、薬の組み合わせと治療スケジュールが決まっています。
手術が難しい方に対しては、最初の治療(1次治療)の効果がみられなくなった場合、別の薬剤による2次治療が検討されます。がん免疫療法は、化学療法を受けたあとの2次治療以降に検討される治療法です。治療の進め方については、薬剤の効果や副作用の程度、患者さんの全身状態などを考慮して決められます。

(主な副作用と治療中のセルフケアについては「薬物療法の副作用とケア」をご参照ください)

日本肺癌学会編:EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2016年版, p261,267-268, 金原出版, 2016
最適使用推進ガイドライン, ニボルマブ, 悪性胸膜中皮腫, 厚生労働省, 平成30年8月

日本肺癌学会編:EBMの手法による肺癌診療ガイドライン 2016年版, p261-268, 金原出版, 2016
国立がん研究センター がん情報サービス「中皮腫」

日本臨床腫瘍学会編: がん免疫療法ガイドライン, p6-9, 金原出版, 2016
国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法」

※免疫チェックポイント阻害薬による治療の対象となるのは、悪性胸膜中皮腫の患者さんのうち、手術の対象とならない方で、化学療法を受けたことがある患者さんに限られます(2018年8月現在)。

薬物療法の副作用とケア

薬物療法で使われる薬の副作用には、どのようなものがありますか?

副作用の症状は、薬の種類や患者さんの状態によって現れ方や程度が異なります。つらい症状が続く場合は無理をせず、担当医または看護師に伝えてください。
【化学療法(抗がん剤)】

悪性胸膜中皮腫の治療で使用される抗がん剤の主な副作用

  • 吐き気・嘔吐、骨髄抑制(白血球や血小板の減少など)、疲労感、粘膜炎、食欲不振、下痢、呼吸困難、発疹(ほっしん)、脱毛、便秘、かゆみ、味覚異常、脱水、消化不良、眠気、しゃっくり、腎不全、肝機能の低下、など。
    これらの出現時期はだいたい分かっており、状況に応じて、副作用を軽減させる薬を使うなど体調管理の対策を講じながら治療を進めます。
    (副作用に対する主なセルフケアについては、「副作用に対する主なセルフケア」をご参照ください)

国立がん研究センター がん情報サービス「中皮腫」
各薬剤の添付文書より

【副作用に対する主なセルフケア】

〈吐き気や嘔吐の対処法〉

  • 吐き気や嘔吐は、起きてから対処するより予防することが大切です。医師から処方された吐き気止めの薬は、指示どおり服用しておきましょう。
  • 吐き気が起きた場合は、番茶、レモン水、炭酸水、氷水などでうがいすると落ち着くことがあります。
    氷片などを口に含むのもよいでしょう。

〈白血球減少に伴う感染症の対処法〉

  • うがいや手洗いを徹底しましょう。
  • 外出時はマスクをし、できるだけ人混みを避けましょう。
  • 入浴やシャワー、歯みがきなどを心掛けて、身体を清潔に保ちましょう。
  • 刃のあるカミソリは肌を傷つけやすいので、ひげ剃りは電気カミソリを使用して、切り傷を予防しましょう。

〈脱毛のケア〉

  • 抗がん剤投与から2〜3週間後に抜け始めます。あらかじめ髪を短く切っておくと脱毛時のショックが和らぎ、脱毛時の処理も楽になります。 抗がん剤の治療が終われば、多くの場合3〜6ヵ月後には生えてきます。

国立がん研究センター がん情報サービス「 がんになったら手にとるガイド」

【がん免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)】

免疫チェックポイント阻害薬の主な副作用

  • 倦怠感、悪心(吐き気)、食欲不振、無力症、下痢、筋肉痛、などがあります。稀(まれ)ではありますが、免疫の活性化に伴う副作用が生じることも報告されています。免疫関連の副作用は、多くの場合、ステロイド剤などの免疫抑制薬で対処ができます。

〈免疫関連の副作用—肺障害への対処法〉

  • 頻度は低いものの、特に注意が必要な副作用として、間質性肺障害が報告されています。特徴的な症状は、息切れ、息苦しい、発熱、痰のない乾いた咳、疲労などです。風邪の症状と似ていますが、早めの対応が非常に重要ですので、気になる症状が現れた場合は、すぐに担当医に連絡しましょう。

〈免疫関連の副作用—下痢への対処法〉

  • 免疫チェックポイント阻害薬による下痢は、抗がん剤や分子標的薬でみられる下痢とは対処法が異なります。下痢が続く場合は、早めに担当医に連絡しましょう。

日本臨床腫瘍学会編:がん免疫療法ガイドライン, p22-25,37-40, 金原出版, 2016