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悪性胸膜中皮腫

Chapter 1

悪性胸膜中皮腫とは

はじめに

悪性胸膜中皮腫と診断されたあなたへ

このサイトでは、悪性胸膜中皮腫と診断された患者さんに、悪性胸膜中皮腫とはどのような病気か、どのような治療法があるか、診断から治療の流れ、治療中のケアなどについてご紹介しています。
病気と向き合い乗り越えていくためには、これから受ける治療やケアなどについてよく理解しておくことが大切です。このサイトを、担当医と治療の進め方などを話し合うときの参考資料としてぜひ活用してください。
そして、医師や医療スタッフ、ご家族とともに、勇気を持って治療に取り組んでいきましょう。

悪性胸膜中皮腫について

悪性胸膜中皮腫とはどんな病気ですか?

胸膜の中皮細胞から発生する悪性の腫瘍(がん)です。
ほとんどが、アスベスト(石綿(いしわた))の曝露(ばくろ)によって生じます。

肺は、「胸膜」と呼ばれる薄い膜に包まれています。この胸膜の表面にある中皮細胞が"がん化"して生じるのが「悪性胸膜中皮腫」です。
悪性胸膜中皮腫は、そのほとんどが、アスベストの粉塵(ふんじん)を吸い込んだこと(曝露)によって起こります(「悪性胸膜中皮腫はどのような人に多いですか?」をご参照ください)。
主な症状としては、胸の痛みや咳のほか、胸水(きょうすい)が大量に溜まることで起こる呼吸困難や圧迫感などがあげられます。ただし、初期のうちは無症状で早期発見が難しい病気です。健診による胸部X線画像で、異常な画像所見が見つかったことで偶然発見されることもあります。

インフォームドコンセントのための図説シリーズ 肺がん 改訂5版, p42, 医薬ジャーナル社, 2017
胸膜中皮腫診療ハンドブック, p36-37, 中外医学社, 2007

病気が見えるvol.4 呼吸器 第2版, p284-285, メディックメディア, 2013
Gemba K, et al, Cancer Sci, 103(3), p483−490, 2012

悪性胸膜中皮腫はどのような人に多いですか?

以前、アスベスト(石綿)を扱う職業に従事していた方や、アスベストを吸い込む環境にいた方がほとんどです。

アスベストは、鉱石が繊維状に変形してできた天然の鉱物繊維で、石綿とも呼ばれています。綿状の性質があり軽く加工しやすいうえ、熱や薬品にも強いことから、建設資材をはじめ、様々な分野で使われてきました。しかし、アスベスト繊維を吸い込むと、数十年後に中皮腫や肺がん、アスベスト肺などの深刻な健康被害を引き起こすことが明らかとなったため、現在ではその使用が全面的に禁止されています。
悪性胸膜中皮腫は、アスベストの曝露から20~50年と非常に長い潜伏期間を経て発症するのが特徴です。このため、かつてアスベストを扱う職業に就いていた方や、アスベストを扱う作業現場の近くに住んでいた方なども、発症する危険が高いことが知られています。

病気が見えるvol.4 呼吸器 第2版, p296-297, メディックメディア, 2013
国立がん研究センター がん情報サービス「中皮腫」

アスベスト 石綿と健康被害 第11 版, p10, 環境再生保全機構, 2017
厚生労働省ホームページ「アスベスト(石綿)情報」

悪性胸膜中皮腫の種類

悪性胸膜中皮腫にはどんな種類がありますか?

多くは「びまん性」で、胸膜全体に広がっていく性質があります。
組織型では「上皮型」「肉腫型」「二相型」に分けられます。

悪性胸膜中皮腫には、1ヵ所にかたまって大きくなる「限局性」と、胸膜全体に広がる「びまん性」のタイプがあります。多くは「びまん性」で、肺全体を包み込むように広がる性質があります。
がん細胞の組織型の種類としては、「上皮型」「肉腫型」「二相型」などがあります。これらのうち、頻度が高く病気の経過(予後)が良いのが「上皮型」で、全体の約60%を占めています。組織型によって、病気の進行スピードや予後が異なるため、がんの組織型も考慮したうえで今後の治療方針が立てられます。

日本医師会編:呼吸器疾患診療マニュアル, p258-259, 南山堂, 2008
日本肺癌学会編:EBMの手法による肺癌診療ガイドライン 2016年版, p229-233,金原出版, 2016