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胃がん

Chapter 4

胃がんの薬物療法

薬物療法について

薬物療法とは、どのような治療法ですか?

薬剤を使って、がん細胞の増殖を抑えたり、消滅させることを目的とした治療法です。体のすみずみまで行き渡ることで、全身に散らばったがんに対しても作用を示します。

胃がんの薬物療法は、手術と組み合わせて行われる「補助化学療法」と、手術が難しい状況でがんの進行を抑えたり症状をコントロールする目的で行われる治療法があります。
補助化学療法は、手術の治療効果を高めたり、再発を防ぐことを目的に、抗がん剤を使って行われる治療です。
一方、手術による治療が困難な場合の薬物療法には、「化学療法(抗がん剤)」と「分子標的療法」「がん免疫療法」の3種類があります。

薬物療法では、最も効果的と考えられる薬の組み合わせとスケジュールがいくつか決まっています。これを「レジメン」といいます。
最初のレジメン(1次治療)の効果がみられなかった場合は、別のレジメンを使った2次治療、3次治療が行われることもあります。
どのような薬物療法を行うか、実際の治療戦略については、遺伝子変異の有無や薬剤の副作用の程度、患者さんの全身状態などを考慮して決められます。

  • 手術前に行われる「術前補助化学療法」と、手術後に行われる「術後補助化学療法」があります。

国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん・治療」
もっと知ってほしい胃がんのこと, p14,18-19, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2014
インフォームドコンセントのための図説シリーズ 胃がん 改訂版, p94-101, 医薬ジャーナル社, 2012

がん化学療法ケアガイド 改訂版, p25-39, 中山書店, 2012
日本臨床腫瘍学会編: 新臨床腫瘍学 改訂第4版, 南江堂, 2015

日本臨床腫瘍学会編: 新臨床腫瘍学 改訂第4版, 南江堂, 2015
がん免疫療法ガイドライン, 金原出版, 2016
国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法」

※免疫チェックポイント阻害薬による治療は、胃がん患者さんのうち、手術による治療が難しい患者さん、または再発をきたした患者さんで、薬物療法を受けたことのある方が対象となります(2017年11月現在)。

*抗がん剤による化学療法(分子標的薬との併用を含む)

薬物療法の副作用とケア

薬物療法で使われる薬の副作用には、どのようなものがありますか?

副作用の種類や程度は、薬剤の種類や量によって異なります。
治療中や治療後に、いつもと違う体調の変化を感じたら医師や薬剤師、看護師にすぐに相談しましょう。
【抗がん剤】

胃がんの治療で使用される抗がん剤の主な副作用

  • 悪心(おしん)(吐き気)・嘔吐、貧血、骨髄抑制(白血球減少など)、食欲不振、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)、下痢、手足皮膚反応、腎障害、口内炎、脱毛などです。
    これらの出現時期はだいたいわかっており、状況に応じて、副作用を軽減させる薬を使うなど体調管理の対策を講じながら治療を進めます。

〈吐き気や嘔吐の対処法〉

  • 吐き気や嘔吐は、起きてから対処するより予防することが大切です。医師から処方された吐き気止めの薬は、指示どおり服用しておきましょう。
  • 吐き気が起きた場合は、番茶、レモン水、炭酸水、氷水などでうがいすると落ち着くことがあります。
    氷片などを口に含むのもよいでしょう。

がん化学療法レジメンハンドブック 改訂第5版, 羊土社, 2017
国立がん研究センター がん情報サービス「がんになったら手にとるガイド」
もっと知ってほしい胃がんのこと, p20-21, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2014
静がんメソッド 消化器癌編, p128-206, 日本医事新報社, 2016

    〈白血球減少に伴う感染症の対処法〉

    • うがいや手洗いを徹底しましょう。
    • 外出時はマスクをし、できるだけ人混みを避けましょう。
    • 入浴やシャワー、歯みがきなどを心掛けて、身体を清潔に保ちましょう。
    • 刃のあるカミソリは肌を傷つけやすいので、ひげ剃りは電気カミソリを使用して、切り傷を予防しましょう。

    〈口内炎の対処法〉

    • 虫歯、歯肉炎がある場合は抗がん剤投与前に治療しておきましょう。
    • 口腔内や唇の乾燥予防に、うがいをしたり、リップクリームを使用して保湿しましょう。
    • こまめにうがいをしましょう。やわらかい歯ブラシでていねいにみがきましょう。
    • 熱いものは冷ましてから食べましょう。

    〈脱毛のケア〉

    • 抗がん剤投与から2〜3週間後に抜け始めます。あらかじめ髪を短く切っておくと脱毛時のショックが和らぎ、脱毛時の処理も楽になります。
    • 抗がん剤の治療が終われば、多くの場合3〜6ヵ月後には生えてきます。帽子やバンダナ、医療用かつらなどを使って上手に対処するとよいでしょう。
    【分子標的薬】

    胃がんの治療で使用される分子標的薬の主な副作用

    • 食欲不振、貧血、薬剤注入に伴う反応、心機能の低下、高血圧、下痢、頭痛、鼻出血、疲労などがあります。

    〈薬剤注入に伴う反応への対処法〉

    • 薬剤の投与から24時間以内に起こる過敏症です。投与中やその後に体調の変化があった場合、すぐに医療スタッフに伝えましょう。

    〈心機能の低下への対処法〉

    • 動悸、息切れ、頻脈(ひんみゃく)があった場合、すぐに医療スタッフに伝えましょう。

    〈高血圧への対処法〉

    • 日々の血圧を家庭でも測定し、血圧が上昇していた場合、降圧剤を飲んで血圧をコントロールするとよいでしょう。

    〈鼻出血への対処法〉

    • 鼻血が出ることがありますが、大抵は軽度です。安静にしているとよいでしょう。出血がなかなか止まらない場合は、医療スタッフに伝えましょう。

    がん化学療法レジメンハンドブック 改訂第5版, 羊土社, 2017
    もっと知ってほしい胃がんのこと, p20-21, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2014
    静がんメソッド 消化器癌編, p146-158,181-185, 日本医事新報社, 2016

    【免疫チェックポイント阻害薬】

    胃がんの治療で使用される免疫チェックポイント阻害薬の主な副作用

    • そう痒症、下痢、発疹、疲労などがあります。稀(まれ)ではありますが、間質性肺疾患(かんしつせいはいしっかん)、大腸炎、甲状腺機能障害など、免疫の活性化に伴う副作用が生じることも報告されています。免疫関連の副作用は多くの場合、ステロイド剤などの免疫抑制薬で対処ができます。

    〈免疫関連の副作用―間質性肺疾患への対処法〉

    • 頻度は低いものの、特に注意が必要な副作用として、間質性肺疾患が報告されています。特徴的な症状は息切れ、息苦しい、発熱、痰のない乾いた咳、疲労などです。風邪の症状と似ていますが、早めの対応が非常に重要ですので、気になる症状が現れた場合は、すぐに主治医に連絡しましょう。

    〈免疫関連の副作用―下痢への対処法〉

    • 免疫チェックポイント阻害薬による下痢は、抗がん剤や分子標的薬でみられる下痢とは対処法が異なります。下痢が続く場合は、すぐに主治医に連絡しましょう。

    ニボルマブ添付文書2018年10月改定(第20版)
    がん免疫療法ガイドライン, p1,22-25,37-40, 金原出版, 2016